不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
――夢を見ていた。
キレイなお花畑を卓巳君とふたりで手をつないで歩いている夢。
夢の中では、私は卓巳君が好きで、卓巳君も私が好きで。
両想いであることがうれしくって、私はウキウキしながら歩いている。
だけどふいに気づく。
背後から誰かが卓巳君を呼んでいる。
振り返らなくてもわかる。
私はその人が誰だか知っている。
だけど、わかってないふりをして、卓巳君の手をぐいぐいひっぱって歩き続ける。
卓巳君、気づかないで。
うしろを振り向かないで。
あの人の存在に気づいたら、きっとあなたは彼女のもとへ行ってしまう。
だから私は、卓巳君の気を自分のほうへ向けようとして一生懸命話しかける。
だけどついに卓巳君の足が止まった。