不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
熱さでジンジンする人差し指をそっと唇にあてる。

その瞬間、昨夜の記憶がよみがえってきた。

この指先に、彼の口の中の熱や滑らかな感触がまだ残っている。

指の間を舌先で刺激された甘い感覚も。

知らなかった。
指があんなにも敏感だなんて……って、わーバカバカ!
私ってば、なに思い出してんのよ。


「あはは。動揺しすぎだって」

「もぉ、ヘンなこと言わないでよ」


指を強く握りこみ、必死にごまかす。

もう耳まで赤くなってるのは、自分でもわかっていたけど。


「だって気になるじゃん! で、どうだったのよ?」


興味津々て感じの目で沙耶が身を乗り出してくる。


< 12 / 277 >

この作品をシェア

pagetop