不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
* * *
卓巳君の部屋のチャイムを鳴らす。
ここに来るのもこれで終わりだと思うと、インターフォンのボタンを押す指が少しだけ震えた。
「いらっしゃい」
いつもと同じ。私を迎えてくれる卓巳君の笑顔。笑うと目じりの下がる、優しい目。
この顔が好きだった。
何度も見てるのに、最初に目が合う瞬間はいつもドキドキして、私は人見知りをする子供みたいに、わざと目をそらしてしまう。
部屋に通されて、コートを脱ぐ。
あ、そうだ。さっそく食べちゃおうかな。
買ったばかりのクッキーが入った紙袋を手に取った。
「卓巳君。あのね、これっ」
振り返ったとたん、卓巳君の腕の中に包まれた。