不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
背を向けて立ち去ろうとする私の手首を卓巳君が掴む。


「……離して?」

「離したら逃げるだろ。ちゃんと説明しろよ。オレにだって聞く権利ぐらいあると思うけど」


もう我慢できなかった。ポロポロと涙がこぼれる。


「もうヤなの。卓巳君のそばにいるのがツラいの……。もう会わない。ここにも来ない。だから連絡してこないで」

「つまり、オレとはもう会いたくないってこと?」


私は黙ったまま小さくうなずいた。

どのぐらいそうしていたんだろう。

スマホの着信音は相変わらず鳴り続けている。

卓巳君はしばらくずっと私の手首を掴んだままだった。

だけどふいにその力が弱まって、私の手首は解放された。


「わかった……。じゃね。バイバイ……萌香ちゃん」


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