不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「萌香ちゃん!」


背後から呼ぶ声に振り返った。

そこに立っていたのは、受話器を耳にあてたままこちらを見ている優一君。

出口近くにあるレジカウンター横の電話で誰かと話しているようだった。

振り返ったことをすぐに後悔した。

今、きっと涙目になってる。

泣き顔を見られたくなくて、慌てて顔をそらした。


「ちょっ、どこ行くの?」


背後から優一君の声がする。

なぜか焦っているようで、イライラした口調で電話のむこうの相手と話している。


「だから! その交差点を右だって。おおっ、赤いシェード見えっだろ? ちょ……萌香ちゃんっ、待って……」


その声を無視してドアを開け、外に出る。


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