不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「はぁ……」


ふたりの息が混ざり合う。


「萌香ちゃん、さっきの女王様の話じゃないけどさ。足、舐めていい?」

「えっ、足?」


向かい合い、私の右足を抱え上げた卓巳君。

その親指をそっと口に含む。


「あ……」


恥ずかしい。
そんなとこ、舐めちゃヤダ……。

そう思うのに、もう拒めない。

とてつもなく恥ずかしい行為なのに、求めてしまう。

もっと触ってって、ねだりそうになる。


そっか。
セックスって、こういうものなのか。

白い湯気に満たされたバスルームは、視界も意識もぼんやりさせてくれて、まるで夢の中にいるような気分だった。

その中で、チャプチャプとお湯の跳ねる音と、今まで自分でも聞いたことのないような私の甘い声が響いていた。

フワフワの泡に包まれた私の体を、頭のてっぺんから足の指の先まで、まるで壊れ物みたいに大事に扱ってくれた。

あんな風に優しく触れられたのは初めてで……。

思い返すと体の芯がキュッとなって、ざわざわと胸が落ち着かなくなるこの感情をなんと呼ぶのか……。

その答えに私が気づくのは、もうちょっと後のことだった――。


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