不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
勢いで来てみたものの、どうすればいいんだろう。
目の前には、卓巳君が通っている大学の正門。
私はその場で立ちすくんでいた。
いきなり訪ねてくるなんて迷惑かもしれない。
おまけに、勝手に差し入れまで持ってきちゃって。
でも卓巳君、お腹をすかせてるかもしれない。
差し入れだけ渡したら、サッと帰ればいいんだし。
それぐらいしてもいいよね。
ポケットからスマホを取り出して、卓巳君の携帯番号を表示させた。
そして、大きく息を吸いこむ。
あとはボタンを押すだけ。
なのに、指が動かない。
ダメだ。
なんて意気地なしなんだろう。
やっぱ無理だ。
白いため息が宙をさまよう。
ガックリと肩を落として、立ち去ろうとした時……。
「あれ? 萌香ちゃん?」
声に驚いて振り返ると、そこには赤茶色の髪をした男の子がいた。