不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
でもなぜかうまくいかなくって、私はだんだん苦しくなってくる。

思わず手に力を入れて卓巳君の胸を押した。


「ふぁ……」


ほんの少し離れた唇のすき間から、ようやく酸素を吸い込む。

卓巳君はそんな私の様子に軽く吹き出して笑う。


「プッ……なんで息止めてんの」

「だって……」


――ぐぅううううううう。

その瞬間、この甘い雰囲気を壊すようなカッコ悪い音が鳴り響き、私は慌ててお腹を押さえる。

卓巳君は一瞬目を丸くして、それからまたクスクス笑いだした。


「腹減ってんの?」

「えっ……ううん」


とりあえず首を横に振ってみるものの、あれだけ豪快にお腹が鳴ったわけだし、ごまかせるはずもなかった。

それに、よく考えたら晩ご飯を食べずに出てきたから、もうお腹はペコペコだった。


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