不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「お母さんが、私達の健康のことすごく大事に考えてくれてたってこと」


お父さんは高血圧の気がある。

だからできるだけ塩分を控えめにして、その分をしょうがやにんにくなどのスパイスで味にコクを持たせるように工夫されていた。

当時野菜嫌いだった敦が食べられるようにと、ハンバーグの中には実は色んな野菜が入っていた。

私達は知らないうちに、お母さんの愛情がたくさん詰まったお料理で守ってもらっていた。


「だから、私もがんばらなきゃって思ったんだ。お父さんと弟の健康を守るのが私の役割なんだって、思ったの」


卓巳君はじっと私の目を見つめて頷いてくれた。

その目に安心して、私は話し続ける。


「それでね、毎日ふたりの体のことを考えながらお料理していくうちに、ひとつ目標ができたの」

「目標?」


うん、とうなずいて、私は自分の夢を語った。


「私ね。将来、管理栄養士の資格を、取ろうと思ってるんだ」


だから今の大学に進んだ。

お料理は好きだけど、いわゆるレストランなどの料理人になりたいわけじゃない。

病院や学校の給食センター、福祉施設などで、そのお料理を食べる人達の健康を考えたメニュー作りをしたいっていうのが、私の夢。


< 74 / 277 >

この作品をシェア

pagetop