大好きなんです
「どうしましたか?」
「えっ!?…あ、うん……」
待って、待って……あたし、言ってないよね?
言って………
「………っ!?」
言った。
言った。
……言った、けど……えっ、ええっ!?
「どうしましたか?……桃園さん?」
「っ!!」
その可能性に気づいて頭が真っ白になる。
それとは逆に顔はどんどん赤くなる。
「う……えっ、と……!」
「顔、真っ赤ですね」
「………っ!!」
くすくすと霧谷くんは楽しそうに笑う。
「もう一度、呼んでくれませんか?」
「ぅええっ!?」
「僕の名前」
「……っ!!!」
な、なんか、霧谷くん、変っ!!
というかいつもより、なんか……い、色っぽい、というか……
二人きり、だから……?
クラクラと脳が痺れるような感覚がして、自分がちゃんと立っているのかさえ朧気になる。
「もう一度、さっきの……聞かせてくれませんか?」
「さ、さっきの……て………?」
「さっきのです」
ゆるり、と笑って霧谷くんはあたし方に一歩、近づいた。
待って待って待って!!
ほんとに待ってほしい。
また一歩、霧谷くんはゆっくりとあたしに近づいた。
「……どうして逃げるんですか?」
「……ど、どうしてでしょう?」
「…………」
「…………」
また一歩、霧谷くんが近づき、あたしは一歩後ずさった。
ドキドキ…ドキドキ……ダメだ。
心臓、壊れそう……
「くすくす……」
「……?」
お互いしばらく向き合って立っていると霧谷くんがいきなり笑い出した。
ええ〜〜〜〜っ!?