蜜は甘いとは限らない。【完】



分かってるからいいとは思うけど、一応。




...あたしの唯一の取り柄、それは




“暗記”




一度見たものは全て覚える。
そしてそれを忘れない。


あたしは昔から暗記力だけは誰にも負けたことがない。

ていうかこれが自慢になるのかは分かんないけど。



ま、暗記以外の他のことは人並み程度にしか出来ないのだけれど。





「...よし、出来た」

「なんだ、手伝わなくても大丈夫みたいだな」

「あ、希」




タンっ



最後に少し強くenterキーを押したあたしの肩に希が手を置く。


...重い。




「何、仕事は終わったの?」

「もちろん!
つか舞弥、そろそろ迎え来るんじゃないか?」

「あ、」




希の声に部署内にある時計を見る。

あ、因みにあたしは事業部です。



そして見上げた時計の時刻は7:56



あたしの迎えが来るのは8:00



うん、やばい。




< 11 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop