蜜は甘いとは限らない。【完】
分かってるからいいとは思うけど、一応。
...あたしの唯一の取り柄、それは
“暗記”
一度見たものは全て覚える。
そしてそれを忘れない。
あたしは昔から暗記力だけは誰にも負けたことがない。
ていうかこれが自慢になるのかは分かんないけど。
ま、暗記以外の他のことは人並み程度にしか出来ないのだけれど。
「...よし、出来た」
「なんだ、手伝わなくても大丈夫みたいだな」
「あ、希」
タンっ
最後に少し強くenterキーを押したあたしの肩に希が手を置く。
...重い。
「何、仕事は終わったの?」
「もちろん!
つか舞弥、そろそろ迎え来るんじゃないか?」
「あ、」
希の声に部署内にある時計を見る。
あ、因みにあたしは事業部です。
そして見上げた時計の時刻は7:56
あたしの迎えが来るのは8:00
うん、やばい。