蜜は甘いとは限らない。【完】
「?やばいんじゃないのか?」
時計を見ても動き出さず残ったコーヒーを喉に流し込むあたしに、希が聞く。
「うん、やばいわよ?
でもそんなに急がなくても...」
ピリリリリっ
...。
来ないでしょ、そう言おうとした瞬間。
デスクの上に置いていたあたしのケータイが震えた。
「お呼びのようですけど?」
「...チッ
あのドS男が...」
「それって貶してるの?」
苦笑いする希を尻目にバサバサと残ってしまった仕事を鞄に詰めて、事業部を出る。
あぁ、もうっ!
こう、なんで毎回毎回少し遅れただけで電話してくるわけ?!
こっちは仕事してるんだっつの!!!
(途中休んでたけど)
ゆっくりと下に降りていくエレベーターにまで腹が立つ。
_________...ここからが、あたしの非日常...。