蜜は甘いとは限らない。【完】




もう一つ、あたし達が瀬崎を名乗ってるのは、あの人が嵐川を名乗らせてくれなかったから、っていうのもあるのだけどね。





「瀬崎を名乗らせてるのに、パーティには呼ぶんだな」




お前だけが呼ばれてるってことは、跡取り任せられてるのか?




あたしだけ行って、葵だけがパーティに行かない=あたしが跡取り。

となったらしい。




まぁ、それもそうか。


どう考えても可笑しいしね。





「...女が跡取りって、珍しいな」

「何が?」

「は?
嵐川は代々男が継いでるだろ」

「...ふーん」




そういうこと。


どうりで、女嫌いでも跡取りとなれば接し方が変わると思ったのに変わらなかったわけだ。





「...継ぐのか、跡」

「ううん、継がないわ」

「は?
なら葵が継ぐのか?」

「...今、断ってるのよ。
あたしも葵も、跡を継がないと言ってるの」





首を横に振るあたしに、首を傾ける寺島。




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