蜜は甘いとは限らない。【完】
チャプ……
無駄にでかい寺島の家のお風呂。
温泉のようなここはあたし1人では広すぎるのだけれど、そんなお風呂に1人。
女の人が入ってきた。
「……里愛さん、」
里愛さん。
あたしがそう呼ぶこの人は、誰から見ても大和撫子。
まぁ、黙っていればだけど。
若々しいハリのある体に、肌。
ツヤツヤの黒髪。
寺島 里愛(てらじまりえ)
……寺島の、お姉様だ。
「あら、堅苦しい。
りーちゃんって呼んでって言ったじゃない?」
「……それは年齢的に、」
「え?」
「!!
…すいませんが、呼べません」
「えー?」
ざーんねーん。てか相変わらずのドライー。
里愛さんはいつも頬を膨らましてあたしの胸を揉む。
……胸を触るのはやめてもらえないのだろうか。
「ね、また大きくなったんじゃない?
DかEくらいでしょ」
「……誰のせいだと思ってるんですか」
「あ、あたし?
いいじゃない、拒否しないし、小さいよりも大きい方がいいでしょ」
「大きすぎると邪魔なんですよ。
それに、拒否しないんじゃなくてさせてくれないんでしょう」
「うふっ」
口に手を当てて可愛らしく微笑む里愛さんだけど、可愛くない。
あたしには悪魔の微笑みにか見えない。