蜜は甘いとは限らない。【完】




そう思ったあたしはまだお風呂に浸かっている里愛さんを放って、先に上がる。




……長風呂しても、逆上せるだけだし。




さっと体に付いた水を拭き取り、髪を簡単に乾かす。

湿ってはいるけど、大体は乾いた髪に櫛を通すと、また自分の部屋に戻る。




……電話、しなきゃ。




部屋に戻ったあたしはケータイを片手に、床に正座をする。

気合、入れなきゃあの人にはっきりと言いたいことが言えない。



なんて、自分の父親に何も言えないなんて、可笑しな事なのだけど。



…本当、同じ長女として、里愛さんが羨ましい。




PPPP……




そうやって羨ましがっていても仕方が無いから、電話をかける。




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