蜜は甘いとは限らない。【完】



「あ、ねぇねぇ」

「はい?」

「今日暇?」

「いいえ」

「暇?」




あ、痛い。


笑顔で聞いてくるのに、あたしの胸を掴んでる手には力が入ってる。



ちょ、離して欲しい。
潰れる。




「ねぇ、暇でしょ?」

「……明日、明日には仕事終わらせますから」

「ほんと?」

「はい」




やったー!




嬉しそうに両手を上に上げる。


…やっと離れた。




ジンジンと鈍く痛む自分の胸に手を当ててホッとする。


…今日は一生懸命説得か。


今日が休みで、明日は嵐川のところで仕事を手伝わなければいけなかったんだけれど。




まぁ、そんなのより里愛さんに付き合ってる方がよっぽどマシか。




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