蜜は甘いとは限らない。【完】
前に一気にたくさん部屋のあるこの家を片付けているとき、あり過ぎる本の埃を落としていた。
パタパタとはたきを使って埃を落とし、たまに気になる本があれば開いて中を見てみたり。
そんなことを続けていた時、寺島が昔書いていたであろう、途中までだったけどラブレターを見つけた。
それを周りに気付かれないように捨てていればいいものをなぜか寺島は捨てていなかったから、あたしは全て暗記して寺島の部屋の机の上に丁寧に置いておいたのだ。
そういえば、そんなことするのがあたしだけだって分かってるだろうに、今までなんで何も言わなかったんだろう。
疑問だ。
「...じゃあ退いてよ」
「...チッ、早くしろよ」
手紙のことを知っているあたしの急いで何も言えない寺島が渋々前から退く。
てか早くしろって、あんた以外に邪魔する人いないから早く終わるし。
バンッと乱暴に閉められたドアに、さっき額を怪我していた人の肩が跳ねた。
...そんなにアイツのことが、怖いのか。
なんて思いながら持ってきていた鞄の中から救急セットを出す。