俺と無表情女の多表情恋愛


「准、ここにいたのかー!探したぞ!」


かいた汗を流した後、グラウンドに来てみたら駆け寄ってきた浜子。
俺の持っていたスポドリを見るなり伸びてきた手をはたくと、浜子を置いてみんなが集まるところへと向かった。


「よー准!ちょうど今からおまえの桐生が出番だぞ?」

にやにやと教えてくれた友達。
てか、桐生は俺のじゃないし。

グラウンドに目を向ければ、借り物競走にでている桐生がいた。


ピストルの音と共にスタートし、駆け出す。
そして、皆いっせいに落ちている紙を拾うときょろきょろと視線をさまよわせていた。



この学校の借り物競走は少し特殊で「借り物」というよりは「借り者」と言った方が正しいようなお題が出される。

運が悪いと「好きな人」だなんて恐ろしいお題が出されるのだ。


だから、たいてい生徒はこの借り物競走を嫌がってなかなか出場者が決まらない種目のひとつだ。
………きっと、知らずにクラスのやつらに決められたんだろうな。


憐れむような気持ちで桐生を見やる。
すると、目があった桐生はこっちに向かってきていた。


「桐生こっち来てるぞ!」

「好きな人とか引いたんじゃねーのかー?」

にやにやと俺の背中を押してくるのを全力で止めさせる。
なんやかんやしてるうちに桐生はすぐそこまで来ていた。


「お、おう桐生…どーした?」

「ちょっと来てくれる?」


そう言ってぐっとひっぱられる………浜子。

桐生に引っ張られながら、隠しきれてない笑顔でちらちらとこっちを見てくる浜子を軽く殴りたくなったのは、自然だと思う。




.
< 23 / 23 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

つちかぶりひめ

総文字数/22,736

歴史・時代63ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
むかしむかし 帝を中心とした貴族を筆頭に 政治をまわしていた頃 貴族の姫には似つかわしくない それはそれはお転婆な1人の娘がおりました。 そんな娘のことを 皆は皮肉を込めてこう言いました。 「土被り姫」と。 ※この物語はフィクションです 実際の歴史文献とは異なる点が多々ございます 作り話としてご了承ください .
姫様と魔法のキス

総文字数/21,549

ファンタジー45ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
自然と共に生きる国、アジーン王国。 その国の姫であるニカは、 姫とは名ばかりの自由奔放な快活娘。 魔法が使えるこの世界において、 世にも珍しい回復魔法の使い手でもありました。 そんな彼女がいつも通り城を抜け出し 向かった森で出会ったのは、 魔法で動物と心を通わすレゼという青年。 この出会いが世界を大きく揺るがすことになるとは、この時はまだ誰も知り得なかったのです。 start:2017/05/07〜
私の意地悪な旦那様

総文字数/80,786

恋愛(純愛)330ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
私の旦那様は 高校時代の先輩であり かっこよくて何でも出来る 意地悪な旦那様なのです *織部 莉乃 (旧姓:熊沢) 功希大好き!! 一直線なおばかさん *織部 功希 絶賛莉乃に愛され中 意地悪な旦那様 ***************** 「何なの?バカなの?」 「好きにすれば?」 「ほんとバカ」 ***************** バカにされ続けて数年 それでもやっぱり大好きなのです! 2014.6.7~2014.8.7 *印の題名の回は 過去のお話を綴ってあります 番外続編として、功希メインの 「俺のバカな後輩」の執筆始めました そちらもどうぞよろしくお願いします

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop