無口な上司の甘い罠
言い合っていたのは、宮本部長と…今日子。

仕事の話しのようだったが、なぜか喧嘩してて、

今日子はカバンをひったくるように持ち上げると、

扉に向かって歩いて来ようとしたが、それを宮本部長が止めた。


…泣いている今日子を、後ろから抱きしめたのだ。


…薄々気づいていた事じゃないか。

それなのに、それを目の当たりにすると、

心が何かでえぐられたように、傷ついていた。


…これ以上、抱き合っている二人を見る事は出来なかった。


オレは、黙ったまま俯き、会社を出た。


…オレは、何もかも、諦めなきゃいけないのかと、

言い様のない虚しさに囚われていた。
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