きみのそばに
「ねぇ、もう横断歩道渡れたよ」
半ば彼に引きずられるようにして歩きながら、つながれたままの手に視線を落とす。
「渡り終わったら離さなきゃダメなのかよ」
私と同じようにつないだ手を見下ろしながら、彼が急に不機嫌な声を出す。
「そう、じゃないけど」
手をつながれるのは嬉しい。
でも……
私は彼の手を、子どもの頃のように無邪気に握り返せない。
うつむくと、彼がつないだ手の指をひとつずつ私の指に絡め合わせた。
離れないように強く手を握りしめられて、心臓がきゅっと縮み上がる。
ねぇ、どういうつもり――…?
顔をあげると、彼がうつむきながらつぶやいた。
「いつからだろ。子どもの頃みたいに簡単にお前の手、つなげなくなったの」
自嘲気味に笑う彼の声が切なく震える。