きみのそばに
「あのさ。お前、俺と一緒に東京行かない?」
俄かに彼の言葉が信じられず、大きく目を見開く。
そんな私を見て彼が笑った。
「何、その意外そうな顔」
「だって、いつの間にか話してくれなくなって。私、ずっと嫌われてると思ってた」
「そんなわけないだろ。だんだん子どもの頃みたいに純粋にお前に触れられなくなって、どうやってそばにいればいいのかわからなかった……」
苦しそうに微笑んだ彼が、空いているほうの手のひらで私の頬を包み込む。
「だけど、やっとつなげた手。このまま離したくない」
彼の言葉に、喉がキュッと締め付けられたみたいに狭くなる。
息苦しい切なさに、自然と涙が込み上げた。
答えなんてずっと前から決まっている。
幼い頃から恋い焦がれてやまない。
私の大切なひと。
「私も、離したくない」
だからどうか、きみのそばにいさせてください――…
― Fin ―


