恋愛禁止(ホラー)
それに入り口が女子寮のお風呂場だけだなんて、おかしい。


あたしは先生の横に立ち真の前に現れた壁を指でなぞった。


その感覚は土ではなく、人工的に作られているなにかであることは間違いなかった。


携帯の光を当ててみると、120センチほどある灰色の壁が見えた。


「ここ……一体どこに繋がっているんでしょうか……」


その壁は取ってのようなものはついておらず、引いても押してもびくともしない。


もしかしたら、表からしか開かないようになっているのかもしれない。


そう思いながら何度かその壁に両手で力を加えてみる。


その時だった。


壁の向こう側でカタンッと音が響いた。


その音はトンネルの中にいるように反響して聞こえてくる。


あたしは壁に耳を押し当てて、物音を聞きのがすまいと声を殺した。
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