水巫女の獣になった日
「そっか………」

「龍清に会わせる。賢斗、ついてこい。」

さっきまでしんみりとした雰囲気だったはずなのに、沙娜は俺を引っ張ってどんどん歩いた。

そして着いたのは屋敷のずっと奥の部屋。

「龍清。」

沙娜が呼ぶと、1体の龍が部屋の奥から現れた。

「沙娜か…。何の用だ。」

「最後の神官が決まった。賢斗だ。」

龍清がこちらを見る。

「お前か…。」

「喰うなよ。」

沙娜が冗談っぽく言い、龍清もそれに笑うが、俺にとっては冗談に聞こえなかった。

「まぁ、よろしくな。賢斗。」

「よ、よろしく……。」
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