演劇部の記憶
翌日、相変わらずわたしは授業をサボって、弘との約束の何時間も前に行った。その日は1年生は前日の健康診断の振り替えか何かで授業が早くに終わり、何名かの1年生が喫茶店に来ていた。
「結局、昨日の演劇の話、あなたは参加するの?」
マスターがいつものようにわたしが座ったカウンターの席にコーヒーを持ってきながら言った。
「うん、参加しようかな。弘はまだ来ていない?」
「まだ来るわけないでしょ。まだ、高校の授業時間中」
わたしが、コーヒー1杯でいつものように喫茶店で粘っているうちに昨日の約束の時間になって弘がやってきた。
「先輩、昨日の件なのですが、考えていただけたでしょうか」
「参加してあげてもいいかなと思って。でも、メンバー2人だけでは演劇はできないやろ。そこはどうするつもりなんだ」
わたしが参加するという言葉を聞き、一瞬うれしそうな顔をした弘だったが、後半の言葉を聞いてうつむいてしまった。
「それは、まだ……。学校の周りの店にビラを置いてもらったりしたんですけど……」
「友達とかには声かけないの」
「僕、転入生なんで、なかなか」
「でも、申し込み期限は明日までなんやろ。そこはどうするの」
「いや……、あの……」
「最低、何人必要?」
「最低、5人はいないと……」
わたしは、喫茶店の中を見回した。弘のほかには1年生らしき人が3人。わたしは、その3人に近寄っていき肩をたたいた。
「あんたら、1年生?」
その3人は金髪の上級生に話かけられたことに一瞬恐怖の顔を見せたが、「はい」と答えた。
「部活動何やるか決めた? あんたら、演劇やるやろ?」
「う~ん」
一年生はお互いに顔を見合わせた。
「演劇やってみる……?」
「よし、それで決まりだな」
********
「結局、昨日の演劇の話、あなたは参加するの?」
マスターがいつものようにわたしが座ったカウンターの席にコーヒーを持ってきながら言った。
「うん、参加しようかな。弘はまだ来ていない?」
「まだ来るわけないでしょ。まだ、高校の授業時間中」
わたしが、コーヒー1杯でいつものように喫茶店で粘っているうちに昨日の約束の時間になって弘がやってきた。
「先輩、昨日の件なのですが、考えていただけたでしょうか」
「参加してあげてもいいかなと思って。でも、メンバー2人だけでは演劇はできないやろ。そこはどうするつもりなんだ」
わたしが参加するという言葉を聞き、一瞬うれしそうな顔をした弘だったが、後半の言葉を聞いてうつむいてしまった。
「それは、まだ……。学校の周りの店にビラを置いてもらったりしたんですけど……」
「友達とかには声かけないの」
「僕、転入生なんで、なかなか」
「でも、申し込み期限は明日までなんやろ。そこはどうするの」
「いや……、あの……」
「最低、何人必要?」
「最低、5人はいないと……」
わたしは、喫茶店の中を見回した。弘のほかには1年生らしき人が3人。わたしは、その3人に近寄っていき肩をたたいた。
「あんたら、1年生?」
その3人は金髪の上級生に話かけられたことに一瞬恐怖の顔を見せたが、「はい」と答えた。
「部活動何やるか決めた? あんたら、演劇やるやろ?」
「う~ん」
一年生はお互いに顔を見合わせた。
「演劇やってみる……?」
「よし、それで決まりだな」
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