死にたがりの少女をさらった愛することを忘れた狐

「上がったか」

彼は楽しそうにお酒を飲んでる

「あ、はい」

「お前の食事だ。」

差し出された食事は今まで食べたこともないような物がたくさんだった

「あ、い、いただきます!」

どれから手を付けていいか迷ってしまう

そして、どれを食べても美味しい

「美味いか?」

「はい!とっても!」

食事も全部食べ終えた

「あの・・・」

「なんだ」

「狐さん名前、なんて言うんですか?」

「ん?教えてなかったか?」

「はい」

「こっちへ来い」

言われるがまま傍に行く

狐さんからは少しシトラス系の香りがする

「よく覚えておけ。俺の名は吟華(ぎんか)だ」

「吟華さん・・・」

彼の大きな手が私の頭に伸びてくる


「これから、よろしくないずづみ。」

「はい、吟華さん。よろしくお願いします」

狐さんの名前は【吟華】という変わった名前

大きな手はとても暖かくて心地がよかった

昔、お父さんに撫でられた記憶を思い出す

私、ここに来て良かったのかも

少しだけそう思った。


3話/完結



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