弱い私も受け入れて
しばらく2人で抱き合ったまま、特に何か喋るわけでもなく、じっと過ごした。相変わらず彼の掌は私の頭の上。
――
―――コツコツコツ
廊下から聞こえる足音にハッとして、慌てて彼との距離をとった。焦ったのは彼も一緒だったみたいで2人顔を見合わせて笑った。
時計を見て納得した。こちらに近づいてくる足音はきっと警備員さん。そろそろここを追い出される時間だった。
――ガラガラ
ゆっくりと扉が開き、そこから現れた警備員さんとばっちり目が合った。
「なんだ、また井上さん残っていたんですね。そろそろ出てください。警備システムのスイッチ入れますから」
「分かりました、もう帰ることころです。……お疲れ様です」
私がこの時間まで残っていることがたまにあるからか、この状況をとくに疑問を抱いた様子はなかった。
警備員さんはすぐに扉を閉め、また廊下に足音を響かせながら去って行った。
「……井上さん、またって何ですか、またって。よくこんな時間まで……「そうよ、たまに残ってるの。ちゃんと話すからここではやめましょう」
“また”という言葉に彼は引っかかったらしい。長くなりそうだったから、彼の言葉に被せてしまった。
「今は黙って帰るなら、特別にご飯作ってあげてもいいけど……どうする?このまま話をする?ウチに来る?」
話を遮られ、何か言いたそうに不機嫌な顔をした。けれどその表情も一瞬で変化した。
「行きます、行きます。早く帰りましょうよ。お腹が空きました」
……なんて単純なんだろう。私の弱さをも受け入れてくれて、こうも私に忠実だなんて、やっぱり私には彼しかいないんだろうな。
癪だがら、そんなこと彼には言ってあげないけど。
――
―――コツコツコツ
廊下から聞こえる足音にハッとして、慌てて彼との距離をとった。焦ったのは彼も一緒だったみたいで2人顔を見合わせて笑った。
時計を見て納得した。こちらに近づいてくる足音はきっと警備員さん。そろそろここを追い出される時間だった。
――ガラガラ
ゆっくりと扉が開き、そこから現れた警備員さんとばっちり目が合った。
「なんだ、また井上さん残っていたんですね。そろそろ出てください。警備システムのスイッチ入れますから」
「分かりました、もう帰ることころです。……お疲れ様です」
私がこの時間まで残っていることがたまにあるからか、この状況をとくに疑問を抱いた様子はなかった。
警備員さんはすぐに扉を閉め、また廊下に足音を響かせながら去って行った。
「……井上さん、またって何ですか、またって。よくこんな時間まで……「そうよ、たまに残ってるの。ちゃんと話すからここではやめましょう」
“また”という言葉に彼は引っかかったらしい。長くなりそうだったから、彼の言葉に被せてしまった。
「今は黙って帰るなら、特別にご飯作ってあげてもいいけど……どうする?このまま話をする?ウチに来る?」
話を遮られ、何か言いたそうに不機嫌な顔をした。けれどその表情も一瞬で変化した。
「行きます、行きます。早く帰りましょうよ。お腹が空きました」
……なんて単純なんだろう。私の弱さをも受け入れてくれて、こうも私に忠実だなんて、やっぱり私には彼しかいないんだろうな。
癪だがら、そんなこと彼には言ってあげないけど。