【完】籠球ロマンティック
「あの……さ、良くわかんねーけど、あんたはあんただし。ペチャパイでも、一重でも、口が汚い仕上がりだったとしてもあんただし、ンなことされたら、ドキドキするだろ?」


恋夜はとことん優しい声で、律子が思っても見なかったことを言った。


恋夜の言葉を信じるなら、恋夜は、装飾品だらけの律子の、素材を見てくれている。


俯いていた顔を上げると、平常はつり上がった生まれもって整った眉毛が、情けなく下がった恋夜の顔が目の前にある。


「おいおい……唇、切れ、てる」


すっかり力の抜けた律子の手から、するり、と手を引き抜いた恋夜は、その指先で律子の唇に触れる。


「……あ、うわわ、ごめっ!」


自分で触れたにもかかわらず、その行為に恥じらった恋夜は勢い良く後ろにタン、と飛んだ。


「ふっ……は!はは!」


そんな恋夜に温度の下がっていた筈の律子の心に、柔らかな火が灯り、温かな気持ちになる。


「笑うか泣くか、どっちかにしろっつの……うーん、まぁ、とりあえず何か温かいもんでも食わね?」


未だ止まらない涙と、溢れ出る温かな笑いに包まれた律子に、恋夜は正直ホッとしながら頬を掻いた。
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