【完】籠球ロマンティック
トラと向かい合うと、ミニバスから中学校三年までのあの日々を思い出す。


そうするとむずむず、と背中が痒くなる。多分そこは、どれだけ手を後ろに回しても掻けない場所で。


見つめ合い、再び火花がバチバチ、と散ったその時、トラが俺の右足目掛けてボールを叩き付けた。


右足の隣でワンバウンドしゴールの方向へ飛んでいくボールを、俺とトラは並んで走り、目線を合わ火花を散らせたまま追いかける。


同時に手を伸ばし、先にボールを取ったのはリーチの分有利なトラ。


俺はその勢いのままトラが前に進まぬよう、爪先に力を込めてマークについた。


相変わらずに止まぬ歓声と、臓器を揺さぶるようなサウンド。


その歓声と重低音が、俺達の激しい足音を掻き消すのに、心臓の音と呼吸音だけは筒抜けで。


自分の、トラの、息遣いひとつひとつが弾けて、空間に星屑を造り上げていく。
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