イジワル上司に恋をして


あああ……。ほとんど眠れなかった。
最後にちらっと時計を確認したのが午前3時前。なんとかそのあとは寝付いたものの、なんとなく眠りが浅くて、起きたのが午前6時。


「……3時間しか寝てないじゃん」


がっくりと項垂れてぼやくと、わたしの気持ちを表してるかのようなどんよりとした空気。
それは、わたしの気分がそうだからってだけじゃなく、白いカーテン越しでわかる薄暗い空。

あー……ますます気が晴れない。

ムクリと立ち上がり、その足でバスルームへと向かった。

シャワーを浴びたら幾分か気持ちがすっきりとして。
タオルで髪を拭きながらキッチンへと足を踏み入れる。電気ポットでお湯を沸かすと、玄米茶を棚から出した。

この香りが好きなんだよね。

わしゃわしゃと変わらず髪を拭いながら、お湯が湧く少しの時間テレビをつける。
ちょうど天気予報がやっていて、傘マークが目に入ると溜め息が出た。


「雨かぁ」


雨ってやっぱり憂鬱。
薄暗い空はなんだか気だるく感じるし、服装だって気を遣うし。
傘を常に手にして歩かなきゃなんないし、ショップでも、滑ったりしないように気を配らなきゃならないし。

カチッとキッチンから音がして、わたしはまたキッチンへと戻った。

それからお茶をゆっくりと啜って、無駄に早起きしてしまったわたしは準備も全部終えてしまって。
なんだかいつもの時間まで家にいるのも落ち着かなくて、少し早いけど家を出ることにした。

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