イジワル上司に恋をして

会社に着くと、普段顔を合わせないような従業員の人とすれ違ったりしてちょっと緊張する。

ここまできちゃえば、あとは着替えてゆっくりしてられる。

濡れた傘をロッカーの入り口にある傘立てに入れて、ふぅと一息つく。
時間があるからと、のらりくらり着替えていたら、ふと、カレンダーが目に付いた。

もうすぐ連休かぁ。まぁ、例によってなんにも予定はないんだけ……ど……。

そこまで考えて、ハッと思い出す。

あっ! 昨日、西嶋さんからメール来てたんだった!
今朝、頭が冴えなくて、一応目は通したんだけど返信してなかった!

余裕があったはずなのに、コロッと一変してあわあわと途中だった着替えを済ませ、携帯を手に取る。


【さっきは電話ごめん。寝てたかな? 特になにか用事ってわけじゃなかったんだけどね。また連絡します。今日もお疲れさま】


昨日の電話、用件は特になかったんだよね、うん。
急ぎのことだったら申し訳なかったけど、それならまぁ……許されるかな?

昨夜、電話を取らなかったことに、ちょっと罪悪感を感じつつ、受信メールと睨めっこ。
当たり障りのない内容のメールこそ、返信に困ることってある。
しばらく悩んだ末に、返信したメールはこう。


【おはようございます。昨日は疲れて寝てしまってました。すみません。今日もお仕事頑張ってください】


……なんて捻りのない文なの。
そんな突っ込みを自分でしながらも、結局それで送信してしまった。

< 211 / 372 >

この作品をシェア

pagetop