イジワル上司に恋をして
そうか。じゃあ、あの香耶さんの「異論はない」っていうのもわたしのことを……。なんか、すごくすごくうれしい。それだけで、ものすごい頑張れそうだ。
なんだか急にいいことずくめだ。
気になってた吉原さんの件がひと段落ついたり、修哉さんと由美がココで式を上げる予定でいてくれたり。
その一生に一度の大イベントに、堂々とお手伝いを出来る資格を与えられたり。
……好きな人に、想いが通じたり――。
そこでハッと我に返り、制服のシャツのボタンに指を触れさせる。
そして、おどおどとした口調のまま、目は見れないから黒川のネクタイの結び目を見ながら口にした。
「あの……昨日、ありがとうございます。その……」
「……ああ。〝ソレ〟か」
「えっ」
どーして! シャツで見えないって鏡でチェック済みなのに!
赤い顔をしてるだろうわたしは、それを隠すように両頬を手で覆った。
けど、相変わらず眉ひとつ動かさない冷静男は、淡々と言う。
「オレの目線からだと丸見えだ」
「……っ!!」
『エッチ!』と今にも叫びたい気持ちを抑え、でも仕草はそれをしてしまう。
両手を前に交差させるようにして、体をちょっと捻るようにしてジロリと上目で睨む。
「……なに、その目。『セクハラ』とか言いたいの?」
「……それ以外に、なにがあるっていうんですか」
「この程度でそんなこと言われるのは面白くねぇな」