イジワル上司に恋をして
***

「あ、なっちゃんおはようー」
「あ。おはようございます。香耶さん」

翌朝も仕事だったわたしは普通に出社。
優哉は昨日のヘルプの件もあって、今日は重役出勤を許されてるらしくて朝はゆっくりしていた。

「あー。なっちゃん、ソレは」

声のトーンを落としながら、ニヤニヤと香耶さんが肘で小突きながら言う。

「あっ……え、えーと……」
「隠さなくてもいーよー。へぇ。やっぱり普段も優しいんだ? あ、それ以上か」
「……」

未だに〝騙されてる〟香耶さん。
アイツが根っから優しい男だと信じて疑わない。っていうか、わざわざ説明もしてないんだけど……。

香耶さんに突っ込まれた原因を見つめて、ニヤけそうになるのを堪えた。

普段は基本、〝優しくない〟。
だけど、優しさを見せるときはそのギャップのせいかすごく甘く感じる。

コレがまさにそれだ。

腕につけた時計を見て昨日のアイツを思い出す。
ケーキを食べたあと、さりげなく差し出してきたコレ。

まさか来るなんて思ってなかったうえ、まさかちゃんと世間的なイベントのクリスマスにプレゼントまで用意されてるなんて意外中の意外だったわけで……。

「あっ……そ、そういえば! ウチのホテルのケーキって絶品なんですね! わたし初めて食べたので昨日知りました!」
「え?」
「あ、ほら。なんかアイツが……黒川さんが、ヘルプで行ってて……余ってたらしくて帰りに届けてくれて……」

香耶さんだったら知ってると思って振った話題。
でも、なんか反応がおかしくて、だんだんと語尾に自信がなくなってきた。

一度会話が途切れると、目を丸くした香耶さんがぽつりと言った。

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