幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜



「涼!」


文化祭の準備で体育館に飾り付けをしていた時だった。

突然響いた大きなユリの声。

脚立に立っていた俺は、血相を変えたユリの顔に何事かと思いながら駆け寄ってきたユリを見下ろす。



「みのりが…」



そして聞いた瞬間…脚立から飛び降りた俺は走り出していた。



だけど…

突然強く掴まれた腕。


「行かないでよ」


岡崎が走り出した俺を引き止めるようにそう言ってきた。



「ごめん岡崎、離してくれ」


掴まれた手を強引に離そうとした。


「やだ!どうして涼くんがいくの?ただの幼なじみでしょ?ほっとけばいいじゃん!」


でも岡崎はその手を離してくれなくて。


「みのりちゃんには真鍋くんがいるじゃん!涼くんが行く必要ないでしょ⁉︎」


そう言って瞳いっぱいに涙を浮かべていた。


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