幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜



「こんな偶然あるんだね」

「ビックリだよな」


涼とそんな言葉を交わしながら、カメラのレンズを向ける女の人の方を見た。


「じゃあ、撮るよー!」

「お願いしまーす!」



桜の木の下。

去年と同じように涼と並んで写真を撮ってもらう。


「いくよー!」


その時…涼の手がそっとあたしの手を掴み、あたし達はお互いの手をギュッと握りしめた。


「はいっ、チーズ!」


とびきりの笑顔。

繋がれた手。



‘‘あんなふうに手繋いで写真撮ったり歩いてみたいな〜’’



去年、目の前にいるこのふたりを見て思ったことが、現実になった。



涼が…叶えてくれた。


< 342 / 349 >

この作品をシェア

pagetop