手のひらから伝わるもの
ねぇ、もっと甘えさせてよ?

こんな時くらいいいでしょなんて、目で訴えてみる。

すると気持ちが通じたみたいにベッドの上に腰かけた君が膝枕をしてくれて、

私が楽な姿勢がとれるようにと試みてくれる。

「大丈夫?平気?」

心配そうに降ってくる優しい声が耳に心地いい。

彼に触れているところから少しずつ温もりが伝わってきて、漠然とした不安が解けていく。

「…ありがとう」

つぶやきに近い小さな声で言葉を口の中で転がすと、

「どういたしまして」

と少し君は笑った。

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