ベジタブル
そしてルイスがジークを恐れる理由というのは、時折垣間見る、腹黒い一面といっていい。これにより、過去に何回泣かされてきたことか。最近、人間社会に溶け込んでいることもあり滅多に腹黒い部分を見せることはなくなったが、やはり一枚も二枚も上手の人物。いまだに効力は絶大だ。
再び腹黒い一面を見たくないというルイスは今、懸命にクリストファーと格闘していた場所を綺麗にしている。しかしレイとディランは、その面に気付いていない。そもそも弟子達には滅多に黒い一面を見せず、彼等は「尊敬」という言葉を前面に出し、熱く語り合う。
「でも、かっこいいよな」
「勿論!」
「将来の目標だからな」
「師匠のように、数多くの料理を作れる存在になりたいね。そして、師匠のように店を持つ」
「それ、同じ考え」
「じゃあ、一緒に開くか」
「それ、いいね」
「なら、頑張らないと」
「だね」
互いの気持ちを再確認した瞬間、ガッチリと手を握り合う。流石、共に同じ道を進む同士、熱い物を心の中に抱いている。それと同時にルイスという吸血鬼にレシピ開発に付き合って貰おうと、ジーク同様にどす黒い感情が湧く。やはりこの点は、師匠にそっくりだった。
「師匠の料理を食べて、いいレシピを思い付いたんだよ。これ、絶対に美味いと思うんだよな」
「それ、俺も」
「じゃあ、帰ったら……」
「勿論!」
「相手は、ルイスさん」
「ルイスさんしかいない」
「思ったより、丈夫そうだし」
「師匠の店に美味しい料理が増えれば、きっと喜んでくれるよ。ルイスさん、美味しい料理に目がないし」
刹那、レイとディランは同時に含み笑いを漏らす。どうやらジークの影響を完全に受けてしまったらしく、彼等もどす黒いオーラを周囲に放っていく。二人にとってルイスはジークの友人だけではなく、人体実験の道具で美味しい料理を作るのに欠かせない者となっていた。