ベジタブル
「ルイスは、畑の後始末」
「後始末?」
「クリストファーが植わっていた場所だ。綺麗に均しておかないと、クリストファーが繁殖できない」
ジャガイモに「繁殖」という言葉が当て嵌まるか不明だが、あのようにウネウネと動いている時点で通常の植物の分類枠に入れていいものではない。現に多くの研究者は、それで討論しているという。
「お前は?」
「仕事」
「そう言って、まさか……」
「まさか?」
「いや、頑張って下さい」
このような場合、無用な発言は自身の命を縮めてしまう。そして命の危機を迎えたくないのなら、長いものに巻かれた方がいい。ジークとルイスのやり取りを見ていると、レイとディランはそのことを嫌でも学習してしまう。そして、至高のパーティーはこれで終了した。
◇◆◇◆◇◆
井戸を陣取り、食器を洗っているレイとディラン。彼等が口々に語っているのは、ジークの過去の姿。時折見せる、裏の一面。当初歯特に疑問を抱くことのなかった二人だが、先程のやり取りで彼等の好奇心に火がついてしまう。結果、憶測と想像で面白おかしく語り合う。
「師匠は昔、事件を起こしたんだ」
「殺人事件?」
「それだったら、捕まっている。それだったら、追放されたんだよ。うん、これに違いない」
「それ、違うんじゃない。だって追放されたとしたら、こうやって故郷に戻って来られないし」
「ああ、そうか」
「なら、何だろう」
「難しい」
二人は懸命に自分達の思考をフルに回転させジークの過去の姿を想像していくが、正しい答えが見付からない。それどころか、更におかしな妄想を繰り広げてしまう。しかし二人がしている話は全く異なり、ジークは事件を起こしていなければ一族から追放もされていない。