*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語
何度目かも分からなくなってきた夜の帳(とばり)がまた降りた。




泡雪の横たわっている藁の塊とは離れたところにつくった寝床に、沙霧は入った。





夜は、いくら晴れていても、やはり冷え込みがきつくなる。





今日はひときわ気温が低く、沙霧は藁をいくら被っても、持ってきた蓑を被っても、寒くて寝られなかった。





「…………今日は、寒いな」




「……………」




「住めば都というが、やはり冬の雪山の寒さに慣れるのは、時間がかかりそうだ」






震える声で呟いたが、泡雪はちらりと視線を送ってきただけだった。






(…………あぁ、そうか。


泡雪は寒さに強いのだな)






黙って藁に埋もれている泡雪を見ながら、沙霧はそう得心した。






(………それにしても、今日は寒い。



背中がぞくぞくして、少しも眠気が来ないーーー)






沙霧の身体はどんどんと冷えていき、手や足の指先が動かせないほどに冷たくなっていた。






身を縮こめてがたがたと震えている沙霧を、琥珀色の眼差しが、じっと見つめていた。








< 41 / 400 >

この作品をシェア

pagetop