*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語
「…………寒いのか」





小さく囁くような声が聞こえて、沙霧は顔を上げた。




泡雪が、静かな視線をこちらに送ってきている。






「あぁ………今日は冷え込みがきついようだ」





「……………」






沙霧が声の震えを必死に堪えながら答えると、泡雪は無言のまま、緩慢な動きで身を起こした。





がさがさと藁が崩れ、その中から真っ白な身体が現れる。






「……………?」






闇の中に現れ出た純白の姿を、沙霧は不思議そうに見つめる。





白い塊が、四つん這いの格好で、じりじりと沙霧の寝床に近づいてきた。






目を瞠る沙霧のすぐ前に、泡雪がすっと腰を下ろす。




どういうつもりかと様子を窺っていると、泡雪は藁を掻き分けて、沙霧の傍らに滑りこんできた。






「…………えっ、あ、泡雪………?」






沙霧が慌てて声を上げたが、泡雪は静かに見つめ返しただけだった。







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