*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語
柔らかく降り積もった雪の中に手を差し入れると、肌の表面が一気に冷えた。




その冷たさに少し震えながらも、沙霧は両手いっぱいに雪を掬う。





開けたままの木戸から入って、泡雪のもとに直行した。






「さ、食べなさい、泡雪」




「……………」






泡雪はすっと唇を開いた。






沙霧はその口許に手を近づける。




体温でじわりと溶けた雪が、沙霧の指を伝って、泡雪の紅い唇を、つつ、と濡らした。




泡雪は唇についた雫を、軽く舌で舐めとる。






沙霧は少しずつ、泡雪に雪を食べさせた。





泡雪が小さく頷くのを見て、にこりと笑って手を離した。




残りの雪は、自分の口に運んだ。








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