もしも君と恋ができたら
アパートに着いて、またほとんどの荷物をしょうくんが運んでくれた。
「ふぅ……疲れた」
ダンボール群の中に埋まるようにして床に倒れこんだしょうくんに、ペットボトルのポカリを差し出す。
「いつの間に」
しょうくんは目をまるくしながらポカリを受け取り、その様子が面白くてついにやにやしてしまう。
「さっきしょうくんが荷物運んでくれてる間に、自販機で買ってきた」
「へぇ。ありがと」
しょうくんがにっと笑って蓋を開けるのを横目に、わたしは窓のほうへと向かった。
カーテンもまだつけていない窓を開け、午後ののどかな陽射しに目を細めた。
すぐ近くに桜の木があるのを発見して嬉しくなった。
ちょっとだけ勇気が出て、しょうくんの方を振り返る。
「しょうくん、今日はありがとう。すごく助かったよ」
「いいよ。このくらい」
ペットボトルを床に置きながら、しょうくんは優しい笑みを浮かべた。
その笑顔に、また胸が騒ぎ始めたのを感じる。
しょうくんの顔を直視できなくて目を逸らしつつ、口を開いた。
「あ、あのね、今度改めてお礼を……」
言いかけたとき、少し強めの風が吹き込んできた。
「わ、ぷ」
風に乱された前髪を整えていると目の前に影が落ち、顔をあげた。
いつの間にかしょうくんがすぐ近くにいて、動揺しながら彼を見上げた。