もしも君と恋ができたら


「栞がわりにしてただけだから……」


結局でてきたのはそんな言葉だった。


そんな言い訳、焦って逃げ回ってたせいで通用しなくなっているのに。


「ふうん」


声が心なしか楽しそうだ。

しょうくんは写真を本に挟むと床に置き、わたしのほうへと体を近づける。


「何……?」


距離の近さに戸惑いながら彼を見ると、しょうくんはいたずらっこみたいな笑みを浮かべて少し首を傾げた。


「さっき、お礼してくれるって言ったな」


「……うん?」


聞こえてたんだ。


「じゃあさ」


ふいに、しょうくんの笑みが柔らかくなる。


「髪、触らせて」


「……え?」


そう言った瞬間にはもう、しょうくんの手が、わたしの髪に触れた。



突然のことに思考が追いつかない。


けれども優しく、大切なものにでも触れるかのように指を通されて、わたしの胸の奥にじわりと甘い感覚が走った。


「あかりの髪、きれいだよな。今日だって何度手を伸ばしかけたことか」


苦笑するしょうくんの言葉に、わたしは唇を噛んで俯いた。



わたしだって、ずっと触れて欲しかった。


こうやって触れられることを夢にまでみて

しょうくんを思って毎日ケアして……


あなたがきれいだと言ってくれたから、わたしは……



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