幼なじみにわたしの生死がかかってる件

「食わねえなら行かない。」


見れば体の大きいスイはピザトーストをぺろりと平らげてしまっていた。


『それはだめだよスイくん。』


今日は佐原家でスイを招いての食事会がある。
なんでも昼間からだらだらと食べたり飲んだり喋り倒したりしながら夜ご飯までもつれ込むのがいつものスタイルらしい。


らしい、というのはわたしがそれに参加したのは遥か昔、うんと小さい頃だけで、もう記憶にございません状態だからだ。


変な話だとは思う。

わたしは紛れもなく佐原家の子供なのに本当にたまにしか佐原家で生活していないし、食事会にも幼なじみのスイしか呼ばれない。


強硬に欠席の姿勢を示し続けているうちにいつしか自然と呼ばれなくなった。


「コウが絶滅してみろ。俺の後味の悪さったらねえ。」


『てめえの心配かい。』


だって、わたしがいないほうが楽しい会になるってのに、行けるわけがなかった。

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