もう陥落寸前



「笑い事じゃないよ」



 そう私はメモを返す。

 紀子はそれを見ると、また笑って「口説かれてたじゃないの」と余計なことを書いてきたものだから、私は恥ずかしくなった。

 あれは、口説かれたのだろうか。

 親しく話すようになってしまったのだか、彼は本当に、私に寄ってくる。
 友達がいないのか、と思ったがそれはありえない。彼は頭がいいし、友達だっているようだった。何故。記憶にない。どうしてこうなったのか。

 いつだったか、廊下にある掲示板を見ていたとき、ばったりと彼にあった。そのとき他愛ない話で盛り上がってしまったのだ。秀才君と。
 それと、一人講義室でノートを書いているとき、颯爽と現れて「図書室、いきましょう!」などという。



 はっきりいえば、変人。
 秀才はやはり、どこかしら凡人と違っているのだろうか。



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