True Love
恥ずかしい、と思いながらもその笑顔にキュンとした。


きれいに笑うんだな…。


もともと整った顔なのだが、その笑顔は反則だ。反則すぎる。


「そこに立ってないで、座りなよ」


先輩は椅子をポンポンと叩きながらそう言う。


いけない。思わず見惚れてしまった…。


顔が熱くなるのがわかった。それは見惚れて立ち尽くしてしまったせいだろうか。それとも見惚れた笑顔のせいだろうか。


急いで椅子に座る。


「放課後の方がね、昼休みよりも借りたり返却したりする人が多いんだ」


「あ、そうなんですね」


「昼休みは、たむろしてるだけの人が多かっただろう」


「はい…」


柴崎くんの時とは違い、会話があった。図書室だから、もちろん小声ではあるが…。


先輩が言うように、カウンターまでやってくる人が昼休みより多かった。


先輩はその人たちへの私の対応を見ていて、何かわからないことがると、優しく教えてくれた。


思わず柴崎くんのときといちいち比べてしまう。その度に私の中の先輩への好感度の上昇と柴崎くんへの好感度の下降が反比例する。
< 33 / 96 >

この作品をシェア

pagetop