クローバーの起こしたキセキ





やばい、ばれた。
どうせ嘘ついてもお母さんはすぐわかるもんね、なら本当のことを。




「お母さんが心配で居ても立っても居られなかったの。ごめんな・・・・・」




ごめんなさい、を言おうとしたら、お母さんが私を包み込んだ。




「可愛いこと言ってくれちゃって。
別に怒らないわよ、お母さんなんて学生時代“最強の遅刻魔女”って言われてたんだから。
麻美は真面目すぎるくらいよ・・・・・」




最強の遅刻魔女って・・・・・。
一瞬呆れるが、その頃がなきゃ今のお母さんは居ないだろうなと思い直す。




「お母さん、命ってかけがえのないものだよね。
地球の45億年の人生に比べると人間の人生はたった30秒なんだって。
もし、もしだよ?人生で選択を間違えたら、お母さんならどうする?」




唐突に質問した私に、お母さんはびっくりしている。
でもそれもつかの間、きちんと私の質問に答えてくれた。




「私だったら、そうねぇ・・・・・。
最初は後悔するかもしれないわ。
なんであの時あんなことしちゃったんだーとかこんなことしなければよかったーとかね。
でも、きっと悪いことばかりじゃないと思う。
失敗や別れがあるんだったら、逆に成功や出会いもあるんだからね。
だから後悔じゃなくて、こうしたおかげで新しい経験ができたって、前向きに考えるわ」






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