クローバーの起こしたキセキ





私は袋に入れてもらった色紙を大事に抱える。
軽くスキップをして鼻歌を歌っていたら、あっという間に学校へ着いた。




「みんなー、買ってきたよー!」




教室のドアをガラッと思いっきり開けながら叫ぶ。
千羽鶴も私がいない間にまた少し増えている気がする。




「麻美うるさい、静かに入ってきなさいっ」




まるでお母さんのような口調の碧海。
私はダメだと分かっていたけどつい笑ってしまった。
みんなもクスクス笑っている。
碧海も呆れて何も言えないみたいだ。
肩を竦める。




「あのね、すっごい可愛いんだよ?見て見て!」




色紙を袋から取り出してみんなに見せる。
みんなの反応は、かわいいかわいいと女子には人気だったけど、男子はノーリアクションで、いんじゃねとしか言わなかった。
私は仕方が無く男子の意見も聞くために、一人で黙々と鶴を折っている童君の元へと向かった。




「ねぇ童君、この色紙海原君に寄せ書きして渡すんだけど気に入ってくれると思う?」




童君は私が話しかけると弾かれたように顔をあげ、驚いたのか目をまん丸にしてから私だとわかり応える。






< 166 / 199 >

この作品をシェア

pagetop