クローバーの起こしたキセキ
「俺はいいと思う。
海原辰也の海の色の水色も入ってるし、何よりクローバーがあるから。
あいつ、クローバーが大好きなんだ」
童君のその言葉を聞き、私の胸は高鳴った。
もしかしたら海原君も私のことを好きなんじゃないかという思いが頭を横切ったから。
「麻美、顔赤いよ?どうかした?」
碧海が近づいてきて私に囁く。
私はなんでもないと返事をしてから童君を見た。
童君はもう自分の作業を再開している。
その姿を横目に見ながら私は碧海と一緒にみんなに告げる。
「今日はもう千羽鶴の作業は終わり!」
「みんなで寄せ書き書こう!
色紙は一人一人出席番号順に回して行くように言ってから、碧海が美術室からいろんな色のカラーペンを持ってきた。
私はさ行の『桜井』なのですぐに順番が回ってきた。
みんなの寄せ書きを読んでいく。
そこには『またいつか会おうね♡』、『私、実は海原君に一目惚れしてました』、『今度会ったら友達になろうぜ!!』などの心が暖かくなる言葉でいっぱいだった。
私もサクラ色のペンを手に持ち色紙に書こうと決めていた言葉を書く。
「『海原君なら絶対に負けない、がんばって!』か。
大丈夫だって、海原には麻美がついてるじゃん」