クローバーの起こしたキセキ





「・・・・・好き。
好きだよ、海原君・・・・・。
きっと、初めて会った時からずっとずっと、好きだった・・・・・」




私は言い終えてからすぐに俯いてしまったから海原君の表情はわからない。
ぎゅっと目を瞑り、判定を言い渡されるような気分で待つ。
その瞬間は三秒後に訪れた。




「・・・・・帰ってくれ、今すぐに。
俺から呼び出しておいて悪いとは思う。
・・・・・もう、麻美とは会いたくねぇ、二度とここに来ないで欲しい・・・・・」




海原君から発せられた言葉の意味、つまり私はフられたってことだ。
まだ続きがあるのか、ぼやける視界の隅に海原君の小さく開いた口元が見える。




「俺は、お前のことなんか少しも好きじゃない。
だから、来るな」




簡潔、そして残酷なその一言は私の胸を深くえぐる。
こぼれそうになる涙を唇を思いっきり噛み締めながら耐え、顔を上げて必死に笑顔を作る。
海原君の瞳には出会った頃のような冷たい濁った闇しか浮かんでいない。




「そ、うだよね、あははっ。
ごめんね、めい・・・・・わくだったよ、ね?ごめんな、さっい。
・・・・・もう、来ない・・・・・から・・・・・。
さようなら、うな・・・・・ばらくんっ」






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