クローバーの起こしたキセキ





私はさよならを言いながらカメラを取り、地面を見ながらひたすら走る。
初恋、だったのにな・・・・・。
何度か物や人にぶつかりそうになりながらも私は足を緩めなかった。
緩んで止まったら、絶対に涙をこぼす自信があったから。
公園を見つけ、そこのトイレの中に入り我慢していた涙がぽろっとこぼれた。
それが引き金となり、涙はどんどん溢れてくる。
嗚咽が外にもれないように手で口を押さえながら、拭くことなく地面を濡らして行く。




「なんか声聞こえなーい?」




「えー?気のせいでしょ、何にも聞こえないって」





女の子たちの声が遠ざかって行くのを聞きながら、私はひたすら涙を流す。
何分間泣いたのかは分からない、だけど海原君のことで泣くのはこれで最後にしようと決心しながら声に出す。




「・・・・・っ、っっ・・・・・。
う、なば・・・・・らくっん。
好き、好きだった、よ・・・・・。
今・・・・・ま、でっありがっ、と・・・・・。
さようなら・・・・・っ」






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